THE NETHER 尋問の記録
THE NETHERの台詞と流れをメモしたいと
思い、ここに書いていきます✍
愛唄は個人的に頭に入りやすかったので
自分用に台詞メモしてたんですけど
ネザーはとっても難しい…!
でも覚えがいのある内容だし
台詞が文字としてあると内容考察も
はかどるんじゃないか、と。
耳で聞いて頭で覚えて
少しだけ紙にメモしてる程度なので
もちろん一言一句台本と同じではありませんが
得意の瞬間的短期記憶を使う時が来た(厨二病風)
ベースのメモは帰りの新幹線で必死に打ったので
編集しても見落としてる誤字脱字も多いとは
思いますが…😂😂
(念の為に追記しますが、もちろん録音はしていません。仮に録音ならもっと正確に空欄なく書き留めます😂 そして公演中の紙メモもほとんど取ってません。ペンの音や首の角度で周りの方の気が散る原因になるのを避ける為です。他舞台のファンの方で台本を自作した方もいます。そこまで出来るほど私は自信がないので細々とブログに書き残すだけですが、もし疑われたとしたらそれくらい忠実に書き残せたと誇りに受け取らせていただきます🙇🏻♀️)
あくまで自分用のメモなので
無断転載やコピペなどはご遠慮ください🙇🏻♀️
雰囲気を味わう為にお読みいただければと思います!✨
モリス … モ、ウッドナット … ウ
シムズ … シ、パパ … パ
ドイル … ド、アイリス … ア
( 尋問室 ) モリス 対 シムズ
シ:家に帰りたい。
モ:どちらの家にですか。
シ:家族と話す必要がある。
モ:どちらの家族ですか。
シ:君は何を言っているんだ。私はただ電話がかけたい。
モ:そうですか。私たちもやりたいことがあります。
シ:弁護士を呼べ。
モ:どちらの弁護士をですか。
シ:いい加減にしろ!
モ:どなたとでもご自由に連絡を取って構いません。ログインする必要があるなら、端末もありますよ。奥様もそろそろ心配しているんじゃないですか?
シ:妻を巻き込むな。
モ:お子さんたちも。
シ:子どもなんかいない。
モ:ミスターシムズ、あなたは美しい家をお持ちですね。森の小道から少し入ったところにあるビクトリア様式の邸宅です。玄関のポーチには、長い靴下を履いてセーラー帽を被った子ども達がいます。バーナード、ドナルド、アントニア、…アイリス。なんとも古風な名前ですね。純粋無垢な、古き良き時代の名前です。
シ:私の家はありふれたレンガ造りの建物だ。そして妻は子どもを産めない。君は勘違いをしている。
モ:売春の斡旋、強姦、未成年との性行為、殺人、このようなことは重い罪として告訴されます、ミスターシムズ。
シ:私を告訴するのか?
モ:かなりの常習犯ですね。稼いだ金額を見ればわかります。
シ:告訴するのかしないのか。
モ:アフリカのブルキナファソにあるあなたの口座のことも掴んでいます。
シ:告訴しないなら私は帰る。
モ:えぇ、どうぞご自由に。
シ:帰っていいんだな?
モ:告訴しないのに拘留し続けるのは法律で禁止されています。
シ:わかった。では帰ろう。
モ:私たちは肉体を取り締まることはできません。あなたの肉体はドアの外へ行くことが出来ます。
シ:そうか、じゃあ私の肉体は外へ行こう。
モ:でももしそうするなら、私たちはあなたのログインを無効にします、ミスターシムズ。あなたは二度と、ネザーにアクセス出来なくなります。
シ:君たちは何者だと言ったか?
モ:私たちはネザーの犯罪を取り締まる機関です。私は現実世界の担当捜査官で、モリスと言います。
シ:私にはネザーでやるべきことがある。沢山の人間が私と繋がっている。私をネザーから追放することは出来ない。
モ:あなたは随分古いものがお好きなようですから、その時代に戻ると思えばいいのではないでしょうか?
シ:これは人権侵害だ!私の弁護士はこの分野のエキスパートだ。彼の手にかかれば私はすぐネザーに復帰できる。
モ:そうなさりたいなら、どうぞなさってください。私たちは、あなたの子どもたちの居場所を突き止め保護する時間があれば十分です。
ミスターシムズ、どうしました?あなたにお子さんは、いないんですよねぇ?
私たちは確かな情報に基づいて告訴する為にネザーに捜査官を潜入させました。あなたはオンライン上にログが一切残らないようにコードで書いていましたね。ですから、捜査官は自分でレポートを書いて提出してくれました。ログインすると厳重なセキュリティチェックを経て、用意された容姿の中から自分のキャラクターを作り出した。その後、この世界では現在のテクノロジーに関する言葉を使わないのはマナーだというレクチャーを受け、ようやくハイダウェイに入ることが出来た。ハイダウェイで最初に出会うのは、木々だ。太陽の光と、風の中でそよいでいるその姿に圧倒される。ゆらゆら揺れる光、優しい風の音。その木々の間にビクトリア様式の邸宅が見える。玄関への階段を踏むと、キシキシと音がする。ドアのベルを鳴らす。手に汗をかいているのがわかる。自分の旅行鞄の持ち手をぎゅうっと握る。窓から中を覗き込むと人影が見える。非の打ち所のない立派な身なりの男性が、子どもの、少女の顔を撫でている。
シ:彼らは子どもではない。
モ:それは時と場合によるのではないですか、ミスターシムズ。いえ、パパとお呼びしましょうか?
( 尋問室 ) モリス 対 ドイル
モ:ミスタードイル。ミスタードイル?ミスタードイル、奥様には何も申し上げていません。現時点では、私たちはあなたを拘留しているだけです。私たちはパパと呼ばれている男に関して調査しています。パパの情報は話していだきたいですが、あなた自身の情報は守ります、ご安心ください。セドリック・ドイル、フランクリンミドルスクールの教師。自然科学の分野で優秀教育者賞を受賞。定年まであと1年。定年後は40年に渡る教師生活に応じて年金を満額受け取る予定。妻は英国国教会の上級役員。あなたは4年前まで教会の日曜学校でも教師をやっていました。娘が1人いて、現在イリノイ州立大学2年生。あなたは現実世界の大学の授業料も払っていらっしゃる。かなりの金額でしょう、ミスタードイル。現在のほとんどの学生はネザーの教育機関でより高度な教育を受けています。あなたは夜間にもその教育機関の1つで教師として働いてると主張されている。えー、メタフィジカルサーティチュード大学。実態なき確実性大学ですか。そんな大学があるんですねー。ご希望でしたら、私たちはあなたの経歴に傷がつかないようにすることも出来ます。実際、メタフィジカルサーティチュード大学にあなたを雇ってもらう為のコーディネートだってやります。そうすれば、あなたが端末の前で費やした時間のことも、銀行口座にお金が増えたことも、完全に筋が通ります。今後の生活にも支障ありません。
ド:彼女は…?そのままにしておけるのか?
モ:彼女?
ド:アイリスだ。
モ:いいえ、ミスタードイル。パパに関する情報を入手できたら彼女の命は終わりです。
ド:何も話すことはない。
( 尋問室 ) モリス 対 シムズ
シ:どんな権限があって私をあの庭からここに連れ出した。
モ:顔を合わせてお話するほうが気分が変わって良いかと思いまして。
シ:私が何者なのか君が知る必要はない。私には匿名でいる権利がある。
モ:私たちはほとんどのユーザーを追跡することが出来ます。しかし、あなたの個人情報は見たことのないような方法で暗号化されていて、追跡出来ません。あなたはログインしたと思った瞬間、消えてしまうんです。
シ:私の好みにあった広告を表示できなくて悔しいのか?
モ:あなたの好みなんどどうでもいいことです、ミスターシムズ。問題なのはあなたのレルム、つまり管理区域です。名前は、ハイダウェイ。ハイダウェイ…面白い名前ですねぇ。隠れ家、潜伏場所。わいせつ取り締まり法については、ご存知ですか?
シ:私のレルムはきちんと登録されているし、国際的な資格も持っている。
モ:あなたのサーバーはどうでしょうか。
シ:私のサーバー?
モ:ハイダウェイのソースコードが格納してある物理的な箱ですよ。
シ:サーバーがどういうものかはわかっている。
モ:その場所を教えてください。
シ:私のサーバーはこの国にはない。だから君の管轄外だ。
モ:しかしあなたのサービスはここにあります。この国のそこらじゅうに。
シ:だからそれは君の管轄ではない。
モ:ミスターシムズ、残念ながら、あなたのサービスが提供される場所はどこも私の管轄地域なんです。あなたのレルムは人気があるだけではなく、莫大な利益をあげています。その売上のおかげであなたはレンガ造りのご自宅の周りに200平方フィートにわたって本物の芝生を植えている。庭ではえんどう豆とビーツを育てている。奥様の洋服はコットンです。現実世界でこんなに裕福なのに、なぜ廃人になる道を選ぶんですか?
シ:私は廃人ではない。
モ:あなたのログイン履歴を見ると、かなりの時間オンラインで過ごしていることがわかります。
シ:オンラインで長時間過ごすことが犯罪なのか?なら君たちの捜査官は忙しくてたまったもんじゃないな。
モ:ではあなたはこれまで、移住を考えたことはないんですか?
シ:私はオフラインの生活を維持している。庭の世話もある。
モ:本当ですかミスターシムズ。あなたはネザーに1日平均16時間滞在しています。現実ではない世界でそんなに長い時間を過ごして何が得られるんですか?
シ:バーチャルの世界だからといって、現実ではないわけじゃない。全人口の80%はオフィスレルムで働いてるし、子どもたちは教育レルムの学校に通ってる。知りたいこと、やりたいこと、やってみたいこと、ありとあらゆることに対応したレルムがある。ネザーは我々が生きていく為の道筋になりつつある。枠組みになっているんだ。時代遅れじゃないか?現実ではないと言い切るのは。
モ:奥様は、あなたの性的思考に気付いていますか?
シ:妻はふどうから作られたワインが玄関に届いていれば何も言わない。
モ:子どもに対する性的思考のことですよ!ミスターシムズ。
シ:みんなと同じで、妻も気付きたいことだけ気付いている。
モ:私たちがはっきり彼女に気付かせたら?
シ:彼女は君たちに怒るだろうね。
モ:もしくは近所の方に注意を呼びかけるかもしれませんねぇ。
シ:コミュニティでの自分の立場を気にする程私は実社会にはいない。私の経歴にはシミ1つない。それに最近では本物の子どもたちを見掛けることもなくなった。誰ももう外では遊ばない。
モ:ミスターシムズ、それはジョークですか?
シ:あぁ。クソみたいな冗談を言おうと頑張っているんだが!
モ:それはあなたの事件の捜査において、効果的とは言えませんねぇ。
シ:私の事件?これは法で裁かれることなのか?違うだろ!?
モ:私たちはあなたのサーバーの場所を聞く必要があります。あなたのハードウェアを没収し、あなたのレルムを消去します。そうすれば、あなたは告訴されることなく解放されます。
シ:それこそ法に反してる!
モ:落ち着いてください、ミスターシムズ。
シ:私のレルムは大人の為にあるのは明らかだ。子どもの後ろにいるのは成人した大人だ。訪問者の後ろにいるのも大人だ。全員大人だ。未成年のユーザーが入り込まないように徹底的にチェックしているんだ。それはロールプレイングのルールの元で行う同意の上の…
モ:法律や規則について、だいぶお詳しいようですね。
シ:それが私の仕事だ。
モ:私たちもそれが仕事です!ネザーは様々なビジネスの拠点となっており、私たちはコミュニティの治安を守るよう要請されています。私たちが担当するコミュニティではあなたが作ったレルムは容認しないと判断しました。
シ:投票でもしたのか?
モ:えぇ、国民投票しました。メッセージボードにも注意を向けた方がよかったですねぇ。
シ:ふざけるな。
モ:ログインして確認なさいますか?
シ:どうせ私を追跡してサーバーを突き止めるんだろ。私はログインしない。
モ:では、私が真実を述べていると信用してくださるのですね?
シ:信用?何様のつもりだ!
モ:ネザーはもはや、改革時代の政府ではありません。現実世界同様、政治団体もあります。独自の法律をつくり、独自の訴訟システムを構築しつつあります。あなたは先程、どんな権限があってとおっしゃいましたが、私たちには権限が、あるんです。ご覧下さい、ここはハイダウェイではありません。お座り下さい。
シ:いいか、刑事さん。私は病気なんだ。それも治る見込みのない病気だ。認知行動療法を行っても、再発防止の為に科学的去勢手術を受けても、私の子どもに対する衝動を抑えることは出来ない。私は病気だ。例え自分の愛する子どもだとしても、危害を加えてしまうかもしれない。私はそれを知っている。同じ病気の人間が皆それを知っているわけではない。でも私は自分の衝動とその後起こりうることを知っている。私には自分の病気を制御する責任がある。私は近所の子どもたち、自分の兄弟の子どもたち、私が自分自身に持つことを禁じた子どもたちを守っている。なぜそんなことが出来るのか、そうだ、私は自分がクソでいられる場所を作り上げたんだ。
( ハイダウェイ ) パパ アイリス ウッドナット
ア:パパー!
パ:お〜!
ア:すごい、コマみたい!
パ:面白かった?
ア:うん!目が回る!
パ:気に入ると思った、新しい遊びだよ。
ア:名前は?
パ:うーんまだ決めてない。何か、いいのはある?
ア:んー、ぐるぐるごま!
パ:よし、ぐるぐるごまにしよう!
ア:バーナビーにはもうやった?
パ:君が最初だよ。
ア:ほんと?
パ:君が1番喜ぶと思ったんだ。最初の観客は簡単に感動してくれないと困るからね。
ア:私って、簡単?
パ:えーっとアイリス、今のジョークは君には大人っぽかったかな。
ア:ふふ、ねぇ、私まだパパにまだお願いしたことってないでしょ?
パ:そうだな。
ア:あのね、私、バースデーパーティーをやりたいの!
パ:バースデーパーティー?
ア:うん!
パ:歳を取るのか。もう11歳だろう。
ア:お部屋中にいーっぱいリボン飾ったら、素敵だと思うの。それと、バースデーケーキ。お気に入りのハイダウェイのゲストを招待するのもいいかも。
パ:ゲストを呼ぶのか。発想が経営者みたいだな。
ア:ゲストが大事なわけじゃないの。
パ:なら、なんだい?
ア:だから、それがしたいんじゃなくて…。
パ:なんだ、何を考えているかちゃんと言いなさい。
ア:私は、私が主役の1日が欲しいの。
パ:こっちにおいで。
アイリス、ここには美しい家がある。美しい家族がいる。お前も大切な一員だ。ゲストを惹き付けるのはその美しさだ。そして、思いやり溢れるコミュニティだ。でも、私たちが提供する1番重要なものはなんだかわかるかな?
変わらないということだ。ここでは何も変わらない。私たちが変わらないということが美しいんだ。
ア:神様みたいに?
パ:神様?
ア:神様のことを考えてたの。
パ:神様…。
ア:神様自身のことじゃないの。私たちが一緒にいるのは神様の思し召しなんだって考えたの。そう思わない?
パ:あ、お客様だ。応接間に行きなさい。
ア:はい、パパ。
パ:アイリス、誕生日のことはすまない。君が歳を取ると、この場所のバランスが崩れてしまうんだ。
ア:わかってる。
パ:よかった。可愛い私の子。
パ:どうぞ、お入りください。ハイダウェイにようこそ!
ウ:ありがとうございます。
パ:初めて、ですか?
ウ:はい。実はそうなんです。わかります?
パ:心配いりません。皆さん何度か通ううちに、馴染んできますよ。
ウ:それはつまり、通うことになると?
パ:保証いたしましょう!ミスター…
ウ:ウッドナット。トーマス・ウッドナット。あなたは?
パ:パパと呼んでください。
( 尋問室 ) モリス 対 ドイル
モ:パパは私を応接間に案内する。そこには3人の子どもたちがいる。9歳くらいに見える少女は、完璧に再現された古いスタインウェイのピアノを弾いている。5歳の少年はめかしこんだ客とダンスしている。そして玄関で見たあの少女。パパが頬を撫でていたあの少女は窓の下の椅子に座っている。私は、名前は?と尋ねる。少女は答えた。私は、アイリス。会話はそれで終わり。彼女は私の手を取り、階段を登って2階へ導いていく。私たちは暗い廊下を進んで行く。廊下の両側にはドアが並び、壁には銃や剣など、様々な武器が飾られている。あるドアの向こうから子どもがぐずるような低い声が聞こえる。4人目の子どもだろうか。アイリスは廊下の1番奥のドアへ私を連れて行く。ドアの上には赤く黒ずんだ斧がぶら下がっている。私たちは寝室に入っていく。花柄の壁紙で白いレースのかかったベッドがある。辺りを見回して、私はただただ驚く。部屋は細かいところまで完璧に再現されている。藁(ワラ)の匂いが窓から流れ込んできている。私は喜びと戸惑いの狭間で動けずにいた。アイリスが手招きしている。こっちへ来て、噛み付いたりしないから、そう言うと、うさぎの耳を握り下から上へ撫でるように動かし…
ド:もういい!
モ:何がもういいんですかミスタードイル?
ド:羞恥心を煽って話させるつもりか。恥ずかしさなんかとっくの昔に超越した。
モ:ではなぜ話を中断されたんですか?
ド:君の声にうんざりしたんだよ。君はいくつなんだ?
モ:なぜそんなことを聞くんですか。
ド:君は私の生徒たちを思い出させる。高慢な態度で自分たちがなんでも知っていると思い込んでるやつらだ。
モ:パパに関する情報を提供してくれたら、黙りますよ。
ド:情報なんかない。私たちはお互いに本名を明かすこともない。私はハイダウェイ以外での彼の姿を知らない。
モ:あなたの奥様はパパの存在を知っていますか?今ここでログインして、奥様と連絡を取ってみてはいかがですか?
ド:問題ない。
モ:問題ない?
ド:妻は私の元から去らない。
モ:娘さんは?
ド:大学を卒業するのに必要な金は用意してある。私のことをどう思っているかは知らんが、もう大人だ。どう思おうかあの子の勝手だ。
モ:仕事は?
ド:私はこの国でトップクラスの教師だ!未来の科学者たちに刺激を与えてきた。公立の学校で教える為に教授の職は断った。教育者賞も貰った。だがそのあと、統一学校法が制定した途端、学生たちは皆ネザーの教育ゲームで同じ教育を受けることになった。それからの私はただの監視員に成り下がった。学生たちがオンライン上で逸脱した行為をしないか監視した。学校のファイアウォールを破り、ポルノのレルムに行ってはいないか監視した。
モ:そうやってハイダウェイを見つけたのですか?
ド:広告に惹き付けられた。本当にビクトリア時代のような世界があるなら見てみたいと思った。
モ:ハイダウェイに訪れた時、自分の傾向については気付いていましたか?
ド:傾向?
モ:少女であるという。
ド:少女じゃない。少女のイメージだ。
モ:単なるイメージではありません、ミスタードイル。音、匂い、感触、ハイダウェイは感覚に関して最も進んだレルムです。
ド:私たちの体の99%には意味がない。感覚なんて大して重要じゃない。
モ:科学者としてよくそんなことが言えますねぇ。感覚は私たちのゲートです。
ド:ゲート?
モ:世界のルールを理解する為のゲート、入口です。
ド:世界というのは、この世界のことか?それとも想像の世界の話か?
モ:どちらも同じです。人はネザーでも肉体を持った状態で他者と出会っているからです。
ド:現実とネザーとでは完全に同じではない。ネザーには物理的な障害がない。誰もが好きな形を持ってコミニケーションを取れる。コミニケーションを取ることで人は自分自身の核を知ることが出来る。コミニケーションとは、知りたいという気持ちの集合体だ。肉体を切り離して、意識だけでコミニケーションを取れるということを、その変わらない世界を驚くべきことだ。火の発見に値するくらい革命的なことだ。
モ:えぇ、火の発見と同じようにそれは危険なことでもあります。変わらない世界で人と交流して、私たちは何を学ぶのか。少女の肉に斧を滑らす感覚から、私たちは何を得るのか。
ド:少女は生き返り、再び目の前に立つ。それこそが驚くべき体験だ。イメージや感覚そんなものはあっという間に消え去る。大事なのは、人と人の関係だけだ。
モ:あなたは、ネザーに移住するつもりですね?あなたの身辺は完全に整理されています。あなたはこの世界に対して未練がない。あなたは、ネザーに移住して廃人になるつもりでした。ミスタードイル、その選択は間違っています。移住はまだ実験段階です。恐らく、ライフサポートシステムを検討されたと思いますが、私たちか知るところでは、あれは宣伝の半分も効果がありません。1年もしないうちにあなたの体は誰なのかわからない状態になります。
ド:今のこの袋詰めの肉だって誰なのかわからない。
モ:私たちは廃人の治療も行っています。再び自分自身を取り戻すまでは長い道のりを要します。自殺率も高い。私たちには治療プログラムが…
ド:プログラムなんか必要ない!
モ:別人として行きたいと思うのは鬱の兆候です。
ド:私は鬱じゃない。ただ、悲しいんだ。
モ:あなたの現実世界の関係はどうなりますか。娘さんは。
ド:私の居場所は伝えてある。
モ:では娘さんとはハイダウェイであなたと会うことができるんですね?楽しい家庭訪問が出来るんですね?
ド:そうだ。腕を組んで、小道を散歩することだって出来る。
モ:それをパパが許すと思いますか?
ド:もちろん娘はレルムのルールに従わないければならない。でもそれは可能だ。
モ:私たちの捜査官はパパはそこまで寛大な人物とは思わなかったようです。実際、ルールの融通は一切効かないと報告されています。
ド:君たちの捜査官は起きたことを並べて報告しているだけだ。今度捜査官に話を聞く時は、何を見たとか何をしたと聞いてはいけない。彼にはこう聞くんだよ、どれだけ自由を感じた?って。
( ハイダウェイ ) ウッドナット アイリス
ウ:この寝室、美しい。女の子の夢の部屋だ。
ア:気に入ってくれて嬉しい、ミスターウッドナット。
ウ:太陽の光、暖かい。この下は庭?
ア:えんどう豆でしょ、ビーツでしょ。それからー、レモンバジル。
ウ:そういう季節なの?
ア:そうよ、春の終わり頃にここに来れてラッキーね。
ウ:四季があるのか。じゃあ1年経ったら次の年になるの?
ア:次の年なんてことは考えないで。ここでは何も変わらないの。
ウ:こういうのは全部、誰が考えたの?
ア:もちろんパパよ。
ウ:パパ?彼はただの管理人じゃないの?
ア:ううん、ハイダウェイはパパが作ったの。
ウ:それは、ここのアイデアを思い付いて、プログラミングしたってこと?
ア:ミスターウッドナット、ここでその言葉はダメ。
ウ:ごめん。
ア:初めてだもん、しょうがないわ。こっちに来て?噛み付いたりしないから。緊張しなくて大丈夫。
ウ:緊張なんてしてないよ。
ア:じゃあ、触って。
あっ、もしかして、斧から始めた方がいい人?
ウ:なんて言った?
ア:だいたい皆それは第2ステップなんだけど、もしそっちの性癖がある人なら…
ウ:いやいや!斧はいい。
ア:オッケー。
ウ:それはいつかやるのが決まりなのか?
ア:パパはリピーターになってからがいいって言ってるの。だから初めての時にはやらなくていいのよ。他に何かやりたいことはない?おはじきとかー、ジャックスとか、積み木とか…
ウ:ジャックス?
ア:ゲームよ、見せてあげる。
まず、ジャックを全部床にばら撒く。それからボールをバウンドさせて、ジャックを1つ握ってボールをキャッチする。同じ方の手でやるの。わかった?やってみる?
ウ:あぁ!
ア:惜しい!もう1回!
ウ:やった!
ア:すごい、次は私の番。
ウ:2個取った?
ア:最初は1個、次は2個、その次は3個よ。
ウ:やってみる。…やった!
ア:やった!
どうしたの?
ウ:完全に、我を忘れていた。
ア:ここではそれでいいの、ミスターウッドナット。こうなんだって思い込んでる自分のことは忘れて。そして、…もしかしたらこうかもしれないっていう自分を発見するの。
( 尋問室 ) モリス 対 シムズ
モ:私は少女に近付き抱きしめた。彼女は鳥肌を立てていたが、それは私の腕の中でたちまち消えていった。次の部分は機密事項ですが、私たちの捜査官は告訴に必要なだけの情報を集めてきました。彼はこの体験で心に傷を負ったと話しています。
シ:君たちの捜査官というのは誰だ?
モ:それは重要なことではありません。重要なのは全てのことがあなたの敷地内で起きているということです。私はこうやって、あなたと対面することを強く望んでいました。ミスターシムズ、私はあなたに聞きたかったのです。どうして道徳心を持ちながら、このコンテンツを人々に感染させていくことが出来たのか。
シ:感染?穏やかじゃないな。みんな自分の意思で私のレルムに来るんだ。
モ:彼らは美しさに惑わされてやって来るんです。現実世界では経験できない感覚に触れる為に。
シ:現実世界が人々の欲望を満たしていないことも私の問題だと言いたいのか?
モ:我々全員の問題です。でも誰も問題として考えていません。オンラインで子どもに暴力を振るうのに忙しいからです。
シ:君は一体、何を怖がっているんだ?暴力か?ポルノか?君はポルノがテクノロジーを発展させたことを知らないのか。最初の写真はなんだ、ポルノだ。最初の映画はなんだ、ポルノだ。ネザーがまだインターネットと呼ばれていた時代に1番人気のあったコンテンツはなんだ、ポルノだ。衝動だよ刑事さん。本能的な衝動。我々に感覚がある限り衝動を根絶することは絶対に出来ない。君も学生時代にネザーの想像の世界に時間を費やしたはずだ。冒険の旅に出掛け、悪魔やイノシシを倒す。そして、セックス。私もそうだった。股間を膨らませた。現実に比べたらソフトな接し方だよ。まさか君は妖精とセックスしたことがないなんて言わないだろうね。
モ:いえミスターシムズ、私は妖精とセックスしたことなどありません。
シ:そうか、君はこの機会を逃したんだな。しかし重要なのは、イノシシや悪魔を倒したということではない。子どもや妖精とセックスしたかどうかでもない。重要なのは、全部イメージに過ぎないということだ。その行為には結果がない。そういうことを行ったところで、現実は何も変化しないんだ。
モ:いいえ、イメージやアイデアこそが現実を生み出します。私たちの周りにある、家も橋も戦争も平和条約も。物理的に作られるか社会的な事実となる前に、誰かが頭の中で思い描いているんです。
シ:私が小児性愛者を作り出していると言いたいのか?バカバカしい。私は彼らにストレス発散の場を与えてるんだ。
モ:あなたは彼らの欲望を受け入れるだけでなく、それを賞賛し、合法とする文化を作り上げた。あなたはゲストたちが現実世界で何をしているか、ご存知ですか?
シ:じゃあ君は知っているか。私はある研究データを読んだことがある。バーチャルな行動と実際の犯罪の間に、決定的な相互関係を見出した人間はまだ誰もいない。
モ:全ての人間がネザーに移住すると決めたら、現実とネザーの区別はなくなります。今はネザーに人口のほとんどが移住するかどうかの瀬戸際にあります。現実世界から人がいなくなれば、ネザーの倫理は私たちの倫理になります。
シ:その大量移住も私のせいだと言いたいのか。
モ:あなたの作ったコードによって、誰もが完璧な感覚を持つことが可能になりました。
シ:私のコード?
モ:ハイダウェイで多くの時間を過ごし…
シ:なんだ、私のコードが欲しいのか。
モ:現実世界を忘れたいと願う…
シ:そのコードをディズニーにでも売るのか?
モ:違いますミスターシムズ!
シ:じゃあそれを使って味気ないレルムを作ってユーザーを洗脳してくだらないものを買わせるのか。
モ:私たちはユーザーにもっと信頼出来るものを提供しています。
シ:君たちは警察犬のようにユーザーを追跡する。そして何をすべきか、何をすべきじゃないか、何を考えてはいけないか、何を感じてはいけないか命じるんだ!
モ:ご自分で言ったじゃないですか、ネザーは我々が生きていく為の枠組みであると。もしそうであるなら、現実世界と同じ法律が適用されてもいいんじゃないですか?
シ:現実と想像は違う!人は想像の中では自由であるべきなんだ。ここでは完全にプライバシーが守られるべきなんだ!私はその場所を提供している。個人情報は極めて複雑に暗号化されていて、私ですら誰が来ているかわからない。ましてや第3者がハッキングするのは不可能だ。なのに、どうやって私を見つけ出した?
モ:想像の世界の中にも、情報は潜んでいます。あなたは子どもたちのイメージだけを提供しているわけじゃない。そこには、音や匂いや感触もあります。
シ:私のユーザーを通じて見つけたのか?
モ:彼らの目は生きているように見えます。
シ:ゲストの誰かか?子どもたちの誰かか?
モ:彼らは自分たちが実在すると信じている!
シ:アイリス!あの子はいろいろ質問を始めた。あの男と一緒に過ごすようになってから。
モ:彼らはあなたの愛を本物だと信じています!
シ:ウッドナット!あいつがお前たちの捜査官か。あいつはアイリスに近付き、あいつはあの子に何をした!
モ:あの子に何かしたのはあなたです、ミスターシムズ!そして私は断言します、変化はあったと。
( ハイダウェイ ) アイリス ウッドナット パパ
ア:1、2、3、1、2、3、左足ー、右足ー、左足ー、右足ー、どんどん上手くなってる!
ウ:カウントやめないで、わかんなくなっちゃう!
ア:ミスターウッドナット、この前よりずっと上手くなってる。初めの頃に比べたらすごい進歩よ。
ウ:これ、ダンス用の靴なんだ。リピーター特典で買ったんだ。
ア:こんな自分も自分、そんな風に考えれるようになった、そうなの?
ウ:うん、そうだね。
ア:あなたはどんどん自然体になってる。
ウ:それ!
ア:わあっ。
ウ:ははっ。
ア:私、私…
ウ:ごめん、目回った?
ア:幸せ!
ウ:僕もー!
音楽はどこから出てるんだろう。
ア:溝からよ、イメージ出来ない?
ウ:うん、そうか。イメージは出来るんだけど、どうやって音になるの?
ア:針を置くと、1本の溝辿って、レコードの真ん中に向かっていくの。振動を拾いながら。
ウ:振動はどうやって溝に?
ア:それと逆よ。音がマスターレコードに刻まれていくの。
ウ:で、それをどうやって聴くの?
ア:針から振動が振動板に伝わるの。そうやって音が広がるのよ。
ウ:なるほど、ハードウェアと同じってことか。
ア:んんっ。(咳払い)
ウ:あ、ごめん。つまり…機械ってことだね。
ア:そう!
ウ:地球上にある物質だけでこんなことが出来るなんて驚きだよ。僕たちは道や町を作るだけじゃなくて、想像する為の道具まで作り出したんだ。
ア:魔法みたい。
ウ:ほんとだね。でも、魔法に飲み込まれて自分を見失ってしまわないようにしなくちゃ。僕個人としてはこういう…物質!を手離したくないなぁ。音楽が流れる時、何が起きているかはわからないけど、溝に触れるのはいいと思う。人だってそうだ。
ア:人?
ウ:そう。誰かに触って感じられるのはいい。相手も同じように僕に触って感じているんだ。でもお互い感じてるってどうしたらわかるんだろう。
ア:自分の感覚を信じられないの?
ウ:完全には無理だ。例えば、パパ。
ア:パパがどうしたの?
ウ:君はパパのことがすごく好きだ。
ア:うん!
ウ:パパも君に対して同じ思いかな?
ア:もちろん!
ウ:どうしてわかる?
ア:私と共有していることがあるの。
ウ:この場所で、何かを共有してるってことだよね?でもね、ここで何か一緒にやるのは簡単だ。僕がそう思うのは、僕の父は僕よりも移住した世界のほうに興味があって…
ア:ミスターウッドナット、個人情報を口にするのは、
ウ:ルール違反、わかってる。でも、好きな人と一緒にいるとそんなことどうでもよくなるんだ。言わせて欲しい。例えば、父が僕を想像の世界に招き入れてくれても、僕たちのイメージの中にある美しい音楽に合わせて一緒に踊ってくれても、何かが違うんだ。僕が父に1番望んでいたのは、なんでもいい、ほんの小さなものでも、とにかく実在するものを僕にくれることだったんだ。そうすれば、父は僕のことを愛してくれていると本当に感じることが出来たと思う。
パ:アイリス、午後一緒に過ごす約束を忘れたのか?
ア:やだ、もう午後?
パ:そうだよ。
ミスターウッドナット、あなたはもう時間をオーバーしている。
ウ:そうなんですか。アイリス、言ってくれれば。
ア:忘れてたの。
パ:忘れてた?
ア:楽しかったから…。
パ:そうか、邪魔して悪かったな。
ア:パパ待って!ありがとうミスターウッドナット、これで私たちの時間は終わりよ。
( 尋問室 ) モリス 対 ドイル
モ:捜査官のレポートによると、ハイダウェイのメンバーたちは私生活の情報を与え合うことを禁じていますね?
ド:そーだ。
モ:誰かあなたの知る人で、その規則を破った人はいませんか?
ド:いない。
モ:パパはどうですか?パパが規則を破ったことは、
ド:なーい。
モ:本当ですか?
ド:もう疲れた。
モ:ミスタードイル、ちゃんと座ってください。
もう1度確認します。あなたが初めてハイダウェイに行ったのは、ゲストとしてですよね?
ド:そうだ。
モ:その時あなたが選択したのはどんな容姿でしたか?
ド:若者だ。髪はふさふさで茶色かった。
モ:パパとは、どのタイミングで仲良くなりましたか?
ド:すぐにだ。パパに会う為だけにハイダウェイに行くこともあった。
モ:2人で何をしていたんですか?
ド:ビリヤードとか、あとはコニャックを飲んだり、話したり。
モ:何について話を。
ド:産業革命のこととか、蒸気エンジンの素晴らしさとか。
モ:キャラクターになりきって?
ド:型にはめたければそうすればいい!
モ:発明についてもよく話した?
ド:あぁ。
モ:2人はどう推測していたんですか?
ド:何についてだ?
モ:人類の発明について、未来の進歩について。
ド:人間はいずれ、物理的な制約から解放されて純粋な魂の塊になるだろうと話していた。
モ:あなたは移住をそう捉えているのですか。純粋な魂の塊になると。
ド:そうかもしれない。
モ:でもパパのレルムは肉体を要求してきます。ある一定の容姿を選ばなくてはならない。
ド:ゲストは無限にある選択肢から選べるんだ。
モ:子どもたちは?子どもたちは選択できるんですか?
ド:子どもたちは従業員だ。
モ:アイリスはどうですか?あなたが初めてハイダウェイに行った時、彼女はいましたか?
ド:いや、その頃は別の少女がいた。
モ:別の少女?
ド:ヘンリエッタだ。
モ:その子の容姿はアイリスに似ていましたか?
ド:あぁ。
モ:彼女の後ろにはアイリスとは違う人物がいた訳ですよね?
ド:そうだ。
モ:つまり誰が後ろにいたとしても同じ見た目だということですか?
ド:ゲストは継続性を楽しむんだよ。
モ:まるでパパみたいな発言ですね。ヘンリエッタの前は誰だったんですか?その前、さらにその前は、最初の少女は誰だったんでしょう?
ド:聞いたことがない。
モ:もしかして最初は実在する少女だったんじゃないですか?
ド:それはただの推測だ。
モ:推測するのが私の仕事です。ヘンリエッタは今どうしているんですか。
ド:寄宿学校に行った。
モ:寄宿学校?
ド:そうだ。パパがそう言ってた。
モ:子どもたちは何か不都合なことをするとそうなるということですか、寄宿学校へ送られる。
ド:後ろにいる人間の事情かもしれない。
モ:規則を破ったのかもしれない。パパと親しくなりすぎたり。
ド:子どもたちはみんなパパと親しい!
モ:でもパパにも特別お気に入りの子はいた。
ド:あぁ。特別な存在はいつだっている。
モ:あなたはパパに自分が移住を考えていると話しましたか?
ド:いや。
モ:どうしてですか?あなたの財務関係を見るともう随分前から準備していますねぇ。
ド:じっくり考えた上での大きな決断だ。
モ:これまで他にもハイダウェイに移住した人はいませんか?子どもたちでも、ゲストでも、
ド:知らない。
モ:パパは?
ド:わからない!
モ:ログインしたらパパがいなかったということはありましたか?
ド:パパはネザーのどこかに行ってるんだ、仕事をしに。
モ:そういうことまでオープンに話し合う関係ではなかったということですね?もし、あなたたちがパパの幸せ家族の一員だったら、パパはそのうちの誰かに永遠にいて欲しいと願っていたんじゃないですか?
ド:君はハイダウェイに行ったことがないからシステムをわかってないんだよ!
モ:あなたはそこに何年もいたのにそう思えなかったんですか?パパの返事に確信が持てなかったんですか?もしくは自分をパパに差し出したら寄宿学校へ送られてしまうではないかと恐れていたんじゃないですか?
ド:バカげたことを言うのは勝手だが違う!私はわかってる、パパが何を考えているか私はわかってるんだ!
( ハイダウェイ ) アイリス パパ
ア:でね、バーナビーとアントニアが押したって言ったの。ドナルドはなんにも言わなかった。あの子のパンツも汚れてたから。アントニアが全部考えたことなの。アントニアは、ニワトリが産んだばっかりの卵は温かいかどうか知りたがってた。だから私は言ったの、どうして私に聞かないの?って。私なら、温かいって教えてあげられたのにって。そうしたらアントニアは言ったの、私がパパのお気に入りだから偉そうにしてるって。だから、私はパパのお気に入りじゃないって答えた。だって、おしりを叩く部屋に行ったあとパパはドナルドの顔をずっと撫でてて、キャンディーをあげてたじゃない!あれはゲスト用のキャンディーなのに。
パ:なぜ嫉妬しているんだ。
ア:私は嫉妬してない。嫉妬してるのはアントニアよ。
パ:みんなだよ。ここは愛で満ちているんじゃないのか?
ア:たぶん。
パ:愛はとうもろこしの袋とは違うんだ。与えても与えてもなくならない。
ア:わかってる。
パ:それに、アントニアの言うことを何もかも信じてはいけない。君は人の話を鵜呑みにしすぎる。
ア:私のそういうところが好きなんじゃないの?
パ:気を付けて欲しいと言ってるんだ。
ア:わかってる。
パ:わかってる、わかってる。君はなんでもわかってる。
ア:わかってるの!私はちょっと特別な子なんでしょ?だってパパと一緒に午後を過ごしてるんだもの。
パ:もちろん、君は特別だ。あのゲストもそう思っているみたいだね。
ア:ミスターウッドナットのこと?
パ:あの人と過ごす時間が少し長いんじゃないか。
ア:あの人はパパに興味があるの。いろんな質問をしてくるのよ。
パ:何を聞いてきた?
ア:パパ自身のこととか、ここの仕組みとか。
モ:私自身のこと?
ア:私が彼をその気にさせられてないのかもしれない。だからお喋りばっかり。
パ:ミスターウッドナットはまだ斧を使っていないのか?
ア:そっちの傾向はないみたい。
パ:彼はリピーターだ。君が軽く背中を押してあげるといい。
ア:彼のタイミングに任せちゃダメなの?
パ:親しくなりすぎないようにそうするんだよ。君もそこを気を付けないといけない。彼と交流することで君も傷つきやすくなるし、バランスを崩しかねない。
ア:嫉妬してるの?
パ:アイリス!
ア:からかっただけよ、パパ。私のお気に入りはパパよ。何を持ってきたの?
パ:さぁ?
ア:バースデーケーキ?
パ:アイリスデーケーキって言ったらいいのかな。
ア:見たい!うわぁ。
パ:決してなくならない氷で作った。
ア:溶ける音と凍る音が聞こえる。
パ:このケーキは繰り返し溶けては凍るんだ。
ア:他の音もする。雪の深い山に住んでいる小人さんたちがファルセットで歌ってる!聞こえる?
パ:いや聞こえないな。子どもにしか聞こえない音なんだろう。
ア:だから私に成長して欲しくないの?
パ:だから?
ア:小人さんたちの歌が聞こえなくなるから?
パ:君を失いたくないんだ。
ア:ビジネスにも支障があるもんね。
パ:そうじゃない。そうじゃないのはわかってるだろ?
ア:わかってる。感じてる。でも本当にそうなのか、時々不安になる。
パ:おいで、アイリスデーのお姫様。この木はポプラだよ、知ってたかい?
ア:うん!
パ:嘘だ、知らなかっただろー。
ア:知ってたもん!
パ:知らなかった!
ア:知ってたもん!
パ:知らなかったー!
ア:ほんとよ、知ってたもん!
パ:オーケー、信じよう。じゃあ秘密を1つだけ教えてあげよう。私はね、庭を持っているんだよ。
ア:私たちの庭?
パ:違う、私の庭だ。
ア:そこには、どんな植物があるの?
パ:ここの庭にあるものと同じだよ。私が最近植えた植物はなんだと思う?世界中探し回ったよ。
ア:何?
パ:ポプラの苗木だよ!
ア:本物の?
パ:正真正銘、本物だよ。
ア:ありがとう!
パ:他の人には内緒だよ?昔、別荘の脇にポプラが植えられていた。この国で最後の1本だった。寝室の壁に太陽の光があたってキラキラ輝き、私は目を覚ました。木の葉の間をすり抜けていく風の音。母が窓辺に立っている。母は言った。風の音が聞こえるのは風に吹かれる木があるからよ、と。
ア:木が恋しい。
パ:私もだよ。
ア:パパ、愛してる。
( 尋問室 ) モリス 対 シムズ
モ:あなたは次々と少女たちを作り出す。その子は前の子と似ている。あなたは、彼女たちを自分の近くにいるように仕向けた。でも近付きすぎてはいけない。あなたは、彼女たちが本当の感情を示し出したら寄宿学校へ送る。ゲストは、自分の容姿をあなたの提供する容姿の中から選択できますが、子どもたちは皆同じ姿です。後ろに誰がいたとしても、全てはあなたの支配下にあります。あなたは、美しさを求める人たちを惹き付けるレルムを作り上げました。そして、毎日皆にそこに来て、音楽を奏で、あなたの悪夢に合わせて踊ることを強要しています。
シ:私は誰にも何も強要していない。君の捜査官のウッドナットもそれはわかっているはずだ。
モ:このレポートには書かれています。あなたが彼に何をさせたか。
シ:彼は少女と親しくなった。彼はその子とセックスした。それは警察の人間として違法な行為のはずだ。でも、心配はいらない。ネザーのコミュニティはそれを容認している。
モ:それは証拠を集める為にやったことです。
シ:証拠を集める為なら1回の訪問で十分だったはずだ。しかし彼は何度も訪れた。
モ:さらなる証拠が必要だったから。
シ:何度も来たのは、そこが気に入ったからだ。
モ:彼は当初の計画通り、見事な働きをしました。あなたが今ここにいることがそれを証明しています。
シ:彼は本気でアイリスに恋していたんじゃないのか?あの子に花まで持ってきて。
モ:なぜ少女たちは皆同じ見た目なのですか?
シ:ウッドナットか。あの子は他の少女のことも聞いてくるようになった。
モ:アイリス、ヘンリエッタ、同じ見た目の少女がいつもあなたのお気に入りだった。
シ:あの子は3日間来なかった。戻って来た時あの子は、泣いていた。
モ:最初の少女は誰だったんですか?その子は実在していたんじゃないですか?
シ:あの子に何があったのか教えてくれ。
モ:サーバーの場所を教えてください。
シ:あの子に何をしたんだ!
モ:場所を教えれば、あなたの精神疾患のせいで彼女がどうなったか、教えましょう。
シ:私の精神疾患?それがお前と何の関係がある!お前は明らかにネザーと廃人を嫌っている。恐らく母親か父親がオンラインにのめり込んで十分に構ってもらえなかったんだろ。そういう個人的な欠落感からお前はネザーを法で取り締まる機関にやってきたんだ。残忍な捜査官が取調室で人々のログイン履歴を監視する酷いところだ!新米刑事はそこに自分の居場所を見つけたんだよ。君は純潔で、妖精とセックスしたこともないのに。そもそもセックス自体したことがあるのか?どうなんだ、刑事さん。現実世界でも、他の場所でも、
モ:触るな!!
お前に俺の過去を知るはずがない。アイリスの保護者ヅラするのもやめろ。最初の少女が誰だったかわからない、その子にお前が何をしたのかも知らない。ただ、その子のイメージを使い続けることで何度も何度もその子を傷付けている!お前のやってることは全部偽物だ。パパのお得意の親切も嘘だ。お前は自分のレルムに対して愛など持っていない。あるのはお前のエゴだけだ!お前は自分自身を満足させたいだけだ。その証拠にハイダウェイでのお前の容姿は実物と同じだ!レルムに集まってくる人間だってお前が望まない行動をしたらお前は1発で…
シ:なぜ!ハイダウェイでの私の姿を知っている?
モ:…私たちの捜査官が教えてくれました。
シ:君か。
モ:いいえ、ミスターシムズ。
シ:あぁそうか。コニャックを飲みながら話した、あれは君だったのか。
( ハイダウェイ ) ウッドナット パパ アイリス
ウ:〜♪ (口笛)
パパ!
パ:こんにちは、ミスターウッドナット。
ウ:アイリスに会いに来ました。
パ:他のゲストが長引いていましてね。
ウ:そうですか。
パ:あの子を気に入っているのはあなただけじゃないようですね。コニャックでもいかがですか?
ウ:はい、いただきます。
パ:乾杯。
ウ:うわ、強い!
パ:50年物です。
ウ:どうしてこんなことが可能なんです?
パ:私は常にこの世界を完璧なものにする方法を考えているんです。
ウ:常に考え続けることが重要?
パ:完璧なものにする為に。
ウ:あるべき世界を作る為に。
パ:ええ、そうです。
ウ:それは素晴らしいですね。ご馳走のお返しに私は何をすればいいですか?
パ:アイリスはあなたを気に入っている。私もあなたが気に入りました。
ウ:彼女は魅力的です。
パ:あの子は私が見つけた中で最高の子です。
ウ:何が最高なんです?
パ:どの子も私にとって大切です。でも、お気に入りはいるものです。
ウ:ご心配なく。私は彼女のことをとても大切に扱っています。
パ:そうですね。しかし、実は心配しています。あまり近付きすぎないように気を付けて欲しい。
ウ:単なる気晴らしで遊びに来てるだけです。
パ:気晴らしにしては来る回数が多い。それに私は知っています。あなたはまだ、関係を進めていない。
ウ:それは絶対にやらなければいけないことなんでしょうか。
パ:リピーターなら私たちがここで提供する全てのサービスを体験したいと思うものです。
ウ:それはつまり。
パ:結果が生じない人生です。ご賛同いただけませんか?ミスターウッドナット。
ウ:結果が生じないなんてこと可能でしょうか。僕の父は廃人でした。…すみません、コニャックのせいです。
パ:慣れていないとキツイでしょう。どうぞ、続けてください。
ウ:でもルール違反では。
パ:今回に限り許しましょう。
ウ:父は子どものこと、僕のことを全く見てくれませんでした。僕に触れることもなければ、外に連れて行ってくれることもなかった。僕が覚えているのはライフサポートで丸まった体だけです。父が死んだ時、アカウントの相続人として僕の名前がありました。僕はネザーに父としてログインして、1人だけのレルムを見つけました。小さな、居心地のいい部屋です。肘掛け椅子と暖炉があった。暖炉の上には丸い鏡があって、皺だらけの醜い姿が映ってました。肘掛け椅子の脇にあったテーブルには、セオドア・レトキの詩集が開かれていて、ある一節が見えました。暗い、暗い私の光よ、もっと暗い私の欲望よ、私の魂は暑さで狂った夏のハエのように窓の縁で羽を震わせ続け、どちらの私が私なのか、私は落ちてしまった男、恐怖から這い上がり、心は己の内にある、神は心の中に、人は神になる、強く吹く風の中に解き放たれる。
パ:なんでアイリスがあなたのことを好きかわかりました。ミスターウッドナット、あなたは私のことをあれこれ詮索してきました。それはもうやめていただきたい。自分の行動を疑われたくなければこのプログラムを実行することを勧めます。あなたが恐怖から這い上がる助けになるかもしれません。
ア:大丈夫、ミスターウッドナット。私は何度でも再生するんだから。
ウ:こんなことやりたくない。
ア:何が怖いの?
ウ:君に痛い思いをさせるの。
ア:私は望むだけの痛みしか感じない。
ウ:それってどれくらいの痛さ?
ア:それはちょっと個人的な質問ね。
ウ:ここはとても美しい。なんでこんな恐ろしい物を持ち込まなくちゃいけないんだ。
ア:美しい、恐ろしい。人生に似てる。
ウ:そんなことないよ!
ア:ここでは絶対に出来ないことを体験出来るチャンスよ。
ウ:それはもうしてる、いろんな意味で君と。
ア:それは1つの側面。これはまた別のこと。想像と破壊が、同じ輪の中で循環することがわかるようになる。
ウ:他のゲストたちと交流したことがあるんだけど、この行為が何か彼らに新しい知恵を与えてるようには思えない。
ア:人にはそれぞれタイミングがあって、その場所を提供しているだけ。正しいとか、間違ってるとか、そういうことを越えて、純粋な関係を発見できる。
ウ:それはパパが考えたこととは思えない。君が考えたことじゃないの?
ア:違うわ。パパがこの場所を作って、
ウ:パパは!人と人の純粋な関係を育む為にこの場所を作ったわけじゃない。その理念は君が作り上げたものだ。ここにいたいという気持ちを正当化する為に、
ア:ミスターウッドナット!
ウ:パパは君のことを愛していない!
ア:愛してる!
ウ:自分が愛を感じているから相手も感じてると思ってるのか?
ア:感じてるだけじゃない。パパは私にあるものをくれたの。
ウ:パパは、何をくれたの?
ア:あなたが言ったみたいなこと。現実ことを教えてくれたの。
ウ:現実の、生活の何かを?
ア:そうよ。聞いたら教えてくれた。
ウ:それはなんだ、パパは何を言った。
ア:言わない。
ウ:言うんだ、パパがなんて言ったのか!
ア:誰にも言わない。
ウ:僕を信用していないのか!
ア:信じてる!でも、パパも私を信じてる。
ウ:パパは君を信じてなんかいない!パパは君をコントロールしようとしてるだけだ!彼は何もかもコントロールしてる!端末の前に座って、君を自由に操っているんだ!
ア:違う!繰り返すけどここでのルールを、
ウ:守れって言うのか…そんな、ここでのルール、話しすぎてはいけないというルール、親しくなりすぎてはいけないというルール!ここでは自由になれるはずなのに本当の自由なんて…
ア:ミスターウッドナット!パパを裏切ったら私は生きていけないの!
ウ:いいよ、君にわかってもらうのは無理だよ。
ア:パパからの贈り物については話せない。でも、私のものをあなたにあげることはできる。
ウ:ルールに反することなんだろ?
ア:そうよ。
ウ:わかった。
ア:私、自然科学の分野で優秀教育者賞を貰ったの。
ウ:…おめでとう。
ア:ありがとう。
ウ:ありがとう。
なんでパパがこれを望むのかわかった気がする。これをすれば好きになりすぎない。パパはたぶん、正しい。夢中になりすぎたらいけないんだ。
( 尋問室 ) モリス 対 ドイル
モ:彼女の小さな死体が横たわる殺戮現場に立っていると、熱い匂いが私の周りに立ち昇ってきた。私は、手についた血を眺め、考えている。神よ、この輝きを、この輝きの美しさ、こんなものが自然界にどうやって存在しているのか、どんな方法でどんなコードで存在しているのか。足元に目をやると、彼女の死体は消えている。私がしたこと、何をしたのか、何もしていないのか、何もなかったのか、全てなかったことなのか。すると、ドアの向こうからクスクス笑い声が聞こえてきて、彼女は再び姿を現した。腕を広げて私の方へ向かって歩いてくる。私は斧を振り上げ、再び振り下ろす。もう一度、もう一度、彼女が戻って来るのをやめさせたくてそうする。でも彼女は何度でも戻って来る。もはや、血で染っているのは手だけじゃない。顔も、体も、口の中でさえも血の味がする。私は泣き叫びながら全神経を集中させ、こんなにも、こんなにも、何かを感じたことはなかった。私が疲れ果てるまで、彼女はやって来る。目を見開いて。そこには何の変化もなく、意味もない。私と彼女の間に、私と私の間に、何の意味もない。もし何かあるとしたら、私がモンスターだということ、だけだ。
ド:君だったのか。自然科学の分野の賞…。
モ:過去の受賞者を調べ、極端にログイン時間が長く、かつ、海外に銀行口座を持つ人物を探しました。
ド:どうして私に、こんな、酷いことができるんだ!一緒にいろいろやってきたじゃないか!
モ:あなたの為にやっているんです。
ド:これが私の為だって言うのか!君は狂ってる!
モ:あんなことをした後で、狂っているだけで済めばいいですが。
ド:こんなことをする必要はなかった。ただ、そっとしておいてくれればよかったんだ!
モ:ハイダウェイは、間違った場所です!
ド:いや!あの場所は!壊れた人たちを惹き付けた、それはわかってる!でも、私は彼らを裁かない。彼らは私たちの一部だ。彼らは世界の一部だ。神は彼らを裁かない!なのにどうして、私たちが裁く必要があるんだ!
モ:あなたは深く関わってしまいました。感情的に。私にはわかります!
ド:わかる…?君にわかるはずがない!!
モ:パパと呼ばれる男はあなたが彼を想うほど、あなたのことを想っていません。
ド:想ってる!
モ:彼は自分が作り上げたイメージに溺れているだけです。
ド:それだけじゃない!
モ:彼はあなたをゲストから、少女に変貌させたのは誰のアイデアですか?
ド:パパだ。
モ:あの姿でしか、パパとは親しくなれなかった!
ド:違う!私は、自分の持っている金を全て使ってしまった。あれはハイダウェイに残る為の手段だった。パパは完璧な解決方法を思い付いたんだ。
モ:ヘンリエッタが彼に近付きすぎたから、彼は代わりにあなたを可愛がり始めた。全ては彼自身のエゴの為です。子どもを殺すのはゲストとあなたの距離を保つ為じゃない、あなたを共犯者に仕立て上げる為だ!
ド:何も知らないくせに!君は何もわかってない!彼は、私に実在するものをくれたんだ。
モ:それはなんですか。
ド:言うわけないだろ。私を捕まえられても、パパを捕まえることはできない。
モ:彼には、あなたに与える本物の何かがあった。本当の生活の何かです。つまり、彼はハイダウェイだけで生活しているわけじゃない。彼は移住していないんです!それなのにあなただけなんで!
ド:もう…ここにいたくない…。
モ:娘さんは、娘さんとはちゃんと話したんですか?
ド:彼女はもう大人だ。私が責任を取る必要はない。
モ:あなたは彼女に対して永遠に責任がある!
ド:私の居場所は伝える。
モ:ハイダウェイでの居場所ですか?ミスタードイル、私の父は、廃人でした。私が父に望んだのは、この地球上での関係でした。
ド:君を、信じてた…。
モ:もう一度、パパに会うことを許可しましょう。もし彼があなたを、あなたを愛していると言うなら、あなたに移住して欲しいと本当に願っていると言うなら、ハイダウェイで一緒に暮らせるように手配しましょう。しかし、もしそうでなかったら、彼について知っていることを私に教えてください。
ド:今さら君をどう信頼したらいいんだ…。
モ:ミスタードイル、あなたは私がこの仕事をする中で出会った最も驚くべきことでした。あなたは、私の初恋の人です。イメージできないかもしれませんが。パパのやっていることは間違っています。あなたを傷付けている!私はそれを見ていられない。パパに会って確認すること、この提案は職務上ギリギリ許されています。私は自分の全キャリアをかけて、このことを行います。この提案を受け入れてください。でないと、二度とパパと会えません。もう一度ハイダウェイに、パパの心の中を知りましょう。さぁ、ミスタードイル、ログインしましょう。
( ハイダウェイ ) モリス アイリス パパ
モ:寒い?よかったら僕が…
ア:やめて!触らないで。
モ:パパだ。僕は向こうに行ってる。
パ:やっと戻ってきた!どこに行ってたんだ!
ア:熱があったの。
パ:3日間も?
ア:そうなの。
パ:なんでメッセージをくれなかったんだ。
ア:パパ、聞いてもいい?
パ:もちろん。
ア:私の前に女の子たちがいたこと、ヘンリエッタとか。
パ:その子たちがどうした?
ア:その子たちのことも、私と同じように思ってた?
パ:どういうことかな?
ア:なんで、みんな似たような見た目なの?
パ:言っただろう、ゲストは継続性を楽しむんだ。
ア:ゲストが、なの?パパがじゃなくて?
パ:生意気になってきたな。
ア:最初は誰だったの?
パ:最初?
ア:最初の女の子、それは、パパが元々知ってた子?
パ:アイリス、この前は愛おしさでいっぱいになって私は君に小さな本物をプレゼントした、でも、そこまで尋ねるのはやりすぎだよ。
ア:ごめんなさい、パパ。
パ:ここでのルールはわかってるだろう?
ア:ルールは守る、絶対守って生きていく。私ね、移住しようと思うの。
パ:移住?
ア:私にいつもここにいて欲しくない?
パ:これがビジネスだってことは忘れちゃいけない。
ア:全部ビジネスなの?
パ:それだけじゃない。しかし、維持する為には客観性が必要だ。
ア:でも、私はパパにとって特別でしょ?
パ:もちろんだよ。いつも言ってるだろ?
ア:そうね。アイリスじゃなかったとしても特別?
パ:君はアイリスだ!
ア:ううん、私はそれ以上のものなの。あなたが作った以上のものなの。私を愛してる?
パ:君は移住するべきじゃない。何日か休んでから戻っておいで。こんな会話をしたことも忘れるんだ。忘れられないのなら、寄宿学校へ行くべきかもしれないな。…アイリス?アイリスやめなさい、泣くのをやめなさい。そんなことの為に泣く機能を作ったんじゃない。アイリス、いつも言ってるだろ、親しくなりすぎればこうなるんだ!アイリス、言うことを聞きなさい、アイリス!(平手打ち)
ア:ミスターウッドナットが前に、痛みを感じるか聞いてきた。私は、私が望むだけの痛みしか感じないって答えた。でも、今わかった。あんな痛みは痛みのうちに入らない。
パ:私は、どうすればいい?
ア:もう一度、パパの秘密を教えて。
パ:庭がある。そこにはポプラが植えてある。世界中探してもほとんど残っていない苗木だ。
ア:ありがとう。
パ:どういたしまして。
ア:ごめんなさい。
パ:謝る必要なんてない。
ア:ううん、パパ、私は謝らなきゃいけない。パパがよければ、ゲストを迎える。
パ:もちろんだよ。仕事に戻ってきてくれて、嬉しいよ。
モ:あなたは、頑張りました。辛かったと思います。申し訳ありません。本当に。
前に、ここに座っていたら、幼い頃父が私を抱き上げ、窓の外を見せてくれたことを思い出しました。地平線から太陽が昇るのが、木々の細い枝の向こうに見えた。とても小さい頃だったから忘れてしまっていたんです。でもここに座っていると、その記憶自体、自分が作り上げたものかもしれないという気がしてきました。もう、どっちでもいい。ただ1つ明らかなのは、その記憶は私に安らぎを与えてくれたということです。あなたのことも、あなたの家族のことも、ちゃんと対処してもらえるようにします。あの部屋で約束したことは、全て本当です。…大丈夫ですか?アイリス?ミスタードイル?ミスタードイル!
( 尋問室 ) モリス 対 シムズ
シ:あの子に何をした!
モ:何かしたのはあなたです。
シ:最後に会った時、あの子は泣いていた。
モ:なぜ泣いていたんですか。
シ:あの子が泣いていたのは…ポプラ!
モ:苗木はとても珍しいものです。配送を追跡するのは簡単でした。
シ:私を見つけ出すためにあの子を利用したのか!
モ:ミスターシムズ、アイリスは65歳の男性です。
シ:やめろ、我々には匿名でいる権利がある。
モ:彼は中学の科学の教師で、妻と娘が1人いました。
シ:なぜあの子の素性を明かす!
モ:名前はセドリック・ドイル。
シ:これは倫理に反するだろ!
モ:何を恐れているのですか?本当の姿では彼を受け入れられないんですか?
シ:それはあの子の本当の姿ではない!
モ:そうですミスターシムズ。そう、でした。
シ:そう、でした?何を言っているんだ。
モ:私たちは取り調べの為に彼をここに連れてきました。その3日後、彼をハイダウェイに送り返しました。必要な情報を得る為です。その後、彼は私たちの気付かないところで端末からログアウトし、首を吊りました。
シ:え?
モ:自分のベルトで。あなたをここへ連れて来る前の日のことです。
シ:君があの子を殺したんだ。
モ:いいえ…あなたが殺したんです。
シ:君はあの子とセックスした、君はあの子を気に入っていた!
モ:あなたが彼を弄んだ。
シ:私はあの子が幸せでいられる場所を作った!
モ:彼の幸せは場所にあったんじゃない、あなたにあったんです!彼はあなたに愛されていると思っていた。
シ:そして、君があの子に、私があの子を愛していないと言ったんだ!
モ:その言葉はあなたが言うべきだった!
シ:お前に俺の何がわかる!
モ:あなた自身はわかっているんですか。
シ:アイリスに言ったことは全部本当だった!私は大切に…
モ:彼が年老いた男だと知っていても?彼を大切に扱っていましたか?
シ:だからそれはあの子ではない!
モ:いいえ!彼です!彼は神に与えられた肉体の中にいた!
シ:神?この部屋で神について語るのか?
モ:与えられた肉体の中に、神に作られたままに、この地球上に存在していた!
シ:私たちはそれ以上の存在だったんだ!アイリスは私たちが一緒にいることこそ、神のおぼしめしだと信じていた。
モ:もしこの部屋にミスタードイルも座っていたら、あなたはどんな風だったでしょうね。
シ:さぁ。この部屋は、この世界は、こうあるべきだという誰かの考えや歪められている。君もあるイメージに従って喋って現実を作り出している。ならばなんでもっといい現実を作らない!見てみろよこの部屋を。君が何を作りたいと言ったのか考えろ。ここは人を歪ませる場所だ。人を恐怖に落し入れる場所だ!ミスタードイルに何をした。真実を見せたのか?彼をライトの下に引っ張り出して救ったのか?違う!君は彼の信頼を裏切り、安全だと信じていた場所から引きずり出し、精神的苦痛を与え、自殺に追い込んだんだ!
シ:サーバーは、マレーシアの海岸沖に停泊している潜水艦の中にある。北緯4.795417度、東経104.567871度、サーバーの管理者の名前はジェリー、彼は何も知らない、手を出すな。
モ:…ありがとうございます、ミスターシムズ。
シ:もう、どうでもいい。
モ:私は、ただハイダウェイが好きだったわけじゃありません。私は、ハイダウェイを愛していました。永遠にそこにいたいと思いました。アイリスと一緒に、美しい家で暮らしたいと思いました。でも、もしそうしたら、私はどうなってしまうんでしょうか?
シ:モリス刑事、その名前は本物か?私のアカウントを元に戻してくれないか。…現実世界への追放か、適切な処置だ。昔、ギリギリのところまで行った。通りを下ったところに住んでいた近所の女の子。あの頃私たちは直接顔を合わせていた。近所の人みんなが顔を合わせていた。もう随分昔のことだ。私は彼女のことを考えるのをやめられなかった。彼女の髪が太陽の光を受けて揺れ、彼女の笑い声は魔法みたいだった。私は、中に入り込みたいと思った。私は友達のフリをして、彼女の家族の前では若くて無害な親戚のお兄さんのように振舞って、ある日、私と彼女は彼女の部屋で2人きりになった。私たちは笑い合い、私は手を伸ばして彼女の体を掴み、彼女は私の顔を見てびっくりしていた。私は、気が付くと彼女から手を離し、私は家に帰りコンピューターを立ち上げ、そこに居場所を作った。刑事さん、私をこの世界に放ったら何をするだろうね。
モ:この世界は、今も昔も、学びながら生きていく場所です。あなたはどこにでも行けます。ミスターシムズ、あなたは自由です。
( ハイダウェイ ) パパ ドイル
ド:何を持ってきたの?
パ:さぁ?
ド:バースデーケーキ?
パ:アイリスデーケーキって言ったらいいのかな。
ド:うわぁ!
パ:決してなくならない氷で作った。
ド:溶ける音と凍る音が聞こえる。
パ:このケーキは繰り返し溶けては凍るんだ。
ド:他の音もする。雪の深い山に住んでる小人さんたちがファルセットで歌ってる!聞こえる?
パ:いや聞こえないな。子どもにしか聞こえない音なんだろう。
ド:だから私に成長して欲しくないの?小人さんたちの歌が聞こえなくなるから?
パ:君を失いたくないんだ。
ド:ビジネスにも支障があるもんね。
パ:そうじゃない。そうじゃないのはわかってるだろ?
ド:わかってる。感じてる。でも本当にそうなのか、時々不安になるの。
パ:おいで、アイリスデーのお姫様。この木はポプラだよ、知ってたかい?
ド:うん!
パ:嘘だ、知らなかっただろー。
ド:知ってたもん!
パ:知らなかった!
ド:知ってたもん!
パ:知らなかったー!
ド:ほんとよ、知ってたもん!
パ:オーケー、信じよう。じゃあ秘密を1つだけ教えてあげよう。私はね、庭を持っているんだよ。私が最近植えた植物はなんだと思う?ポプラの苗木だよ!
ド:本物の?
パ:正真正銘、本物だよ。
ド:ありがとう。木が恋しい。
パ:私もだよ。
ド:パパ、愛してる。
パ:私が君をどれだけ愛しているか、君はわからないだろう。
- 終 -
やっっと!だいたいの台詞を
書き残せたんじゃないかな、と!
自信のないところだらけなんですけど(笑)
これがネザーを初めて観た時に一番
やりたかったことなんです。
覚えた台詞を文字として残していくと
見えなかった景色やその時はわからなかった
感情の動きが改めてゆっくりわかったり
じっくり考えることができるような気がします。
そういう人が1人でもいて、このページが
少しでも役立てばこれほど嬉しいことは
ありません😌💗
彼らの声や表情を思い出しながら
ネザーの世界観に浸っていただく
お手伝いができればいいなぁ、なんて。
聞き取れなかったところや忘れてしまったところは
( )で空けています。
他にもたぶんこれかな?みたいな勢いで
当てはめてる単語や変換もありますが
そこも思い出したりまた大阪公演で確認して
編集していくのでよかったらまた読みに
来てください😌💗
間違っているところや抜けているところなど
見つけたら優しく教えてください🙇🏻♀️
感想や考察などもぜひコメントやリプなどへ
お気軽に送ってください!🌟
Twitterのフォロー(@ki_riry)やブログの拡散も大歓迎です◎
前のページには「ハイダウェイの魅力」と
いうタイトルで、登場人物の簡単な動きや
少しの考察等も書いてますのでそちらも🌼
読んでいただきありがとうございました!
りり☺︎